「会話が続かない」
「何を話せばいいのかわからなくなる」
「あとから『こう言えばよかった』
と反省してしまう。
こういったコミュニケーションの悩みは、決してめずらしいものではありません。
私たちの事業所に通う方からも、よく似たお話をお聞きします。
初対面の人との会話で緊張してしまう、気を遣いすぎて疲れてしまう、自分の言葉に自信が持てなくなる…。
そんな経験を重ねるうちに、「自分は人と話すのが苦手なんだ」と感じてしまう方も少なくありません。
でも、私たちは思うのです。
“うまく話すこと”よりも、“相手と心を通わせようとする気持ち”のほうが、ずっと大切だということ。
例えば、相手の話に「うん」「そうなんですね」とうなずくだけでも、立派なコミュニケーションです。
無理に話題を探したり、気の利いた言葉を返そうとしなくても大丈夫。
大切なのは、
「ちゃんと聞いているよ」
「あなたの話を受け止めたい」
という気持ちがあることです。
会話は“キャッチボール”に似ています。
一方的にうまく投げることばかりを考えるのではなく、まずは相手のボールをしっかり受け取ること。
たとえ言葉がすぐに見つからなくても、その姿勢だけで、相手にはしっかり伝わるものがあります。
私たちの支援では、「話すのが苦手」と感じている方にも、自分のペースで安心して人と関われる環境づくりを大切にしています。
たとえば、
「今日は聞き役にまわってみる」
「あいづちだけを意識してみる」
――そんな小さなステップから始められるよう、スタッフがそっとサポートします。 沈黙があってもいいんです。
笑顔でうなずくだけでも、人と心地よい時間を共有することはできます。
“うまく話すこと”よりも、“安心できる空気を一緒につくること”。
それが、私たちが大切にしているコミュニケーションの形です。
もちろん、時には言い間違えたり、伝え方がうまくいかない日もあります。
でも、それで人間関係が終わるわけではありません。
あとから言い直せばいいし、「さっきはごめんね」と素直に伝えれば、むしろ関係が深まることもあります。
もし今、「人とうまく話せない」と感じているとしたら それは、「人とのつながりを大切にしたい」という優しい気持ちのあらわれです。
その気持ちがあるだけで、もう十分に“はじまり”になっています。
焦らず、自分のペースで。“言葉のうまさ”ではなく、“心の向き”を大事にすることで、少しずつ、あなたらしい関わり方が育っていきますよ。
